本作を大学時代の友だちから是非にと勧められて、2月に入ったばかりの休日にT-Joy東広島にて観てきました。
わたしはいわゆるファーストガンダムを中学生の時にリアルタイムに経験した世代であり、当時「ザンボット3」「ダイターン3」と立て続けに問題作を発表していた日本サンライズ(現サンライズ)の作品であり、土曜日の午後5時30分からという不思議な時間帯での放送であったものの、現代でも通用するような精緻な世界観の構築の下、モビールスーツという胸部にコクピットがあるロボット(これは頭部にコクピットを置いたマジンガーZに馴れた少年たちを少し戸惑わせました)を駆使して宇宙を舞台に闘っていくというぶっ飛んだアニメは当時クラスに3-4人はいたSFやアニメ好きの少年たちの魂を鷲づかみにしてテレビの前に釘付けにしたものでした。
その後「ファースト」に続き、「Zガンダム」「ZZガンダム」「逆襲のシャア」に至るまでにはわたしも大学生になっていましたが、なんとかFollowし続けていました。しかし「逆襲のシャア」で物語に区切りがついたと判断して以降、このガンダムシリーズを卒業してしまっており、その後に続くさまざまなシリーズはFollowできておらず、したがって本作も観るつもりはなかったのですが、音楽や映画、芸術を交えた、大分在住の永年の仲良しからのお勧めに???と思いながら観劇したのですが、まあ出だしからびっくり。
かつて中学時代に観たはずのあのサイド6での戦闘と赤い彗星シャアが当時のまま待っていたのです。そしてなんとガンダムと木馬(ホワイトベース)はシャアによって連邦から奪われ、一年戦争をジオン公国側の戦力として闘うという運命になるのです。
「うーむ、完全にパラレル・ワールド・・・???(今風に言うと世界線の変更?)。こんな無茶苦茶な改変あり? でもどこかでこんな手癖というか表現手段を観たような・・・?」てな調子でわたしの頭のなかは大混乱でしたが、ラストのエンドロールの脚本:「庵野秀明」の名前を発見して納得。 これはまさに「シン・機動戦士ガンダム」だったのでした。
さすがにサンライズとカラーの共作ということを考えればこれはありです。タイトルについては、サンライズのガンダムに対する強い想いや矜持もあり、「シン」シリーズのなかに入ることは抵抗があったのでしょうが、まあタイトルはどちらでも構いません。
本作は物語の立ち上がりとしては、明らかに「シン・機動戦士ガンダム」の構造を纏っており、本作における世界線の劇的な変更によって、この先かつての登場人物たち(とくにララアとアムロのお互いの運命線の変更にはおおいに期待したいところです)がどのように登場し、新たにどんな活躍をしていくのか、どこまでこの世界を大きく膨らましていくのか、ニュータイプの理想の王国の誕生まで辿り着かせるのか、それとも映画後半に展開されたように一見平和な確立された世界のなかでの個人的でミクロな戦闘活劇の世界でとどまらせるのか庵野監督のお手並み拝見です。
いやはやこの先の大きな楽しみができました。