秋も押し迫ってきた久々の休日に本作を府中町のヴァルド11にて修行してきました。残念ながら我が東広島のT-Joy東広島にては上映なく、久々の遠征です。
一般的な視点としてはマニアックな本作ではありますが、あえて観に行ったのは、言うまでもなく本作が、少年時代から青年に至るまでテレビ(毎週金曜夜8時から放送されていたアレです)の画面を通して毎週なんともなしに見続けてシャワーのようにその闘いぶりやその言動の影響を浴び続けてきた、あの偉大なアントニオ猪木を大画面で観ることができる最後になるかもしれないとの想いからでした。
わたしのような昭和世代からすると、アントニオ猪木という存在は好き嫌いとかは超越した存在であり、とりあえず金曜夜8時から8時53分までの永遠の憧れでした。「なんだこの野郎ー」とか「負けると思って闘うバカがいるかーっ」「俺は決して逃げずにお前らの挑戦を受けてたつからいつでもかかってこいー」といった名言は昭和の少年のこころに突き刺さり、いまもこころの奥底に渦巻いているのです。
さて観終わっての感想ですが、残念ながらやや不完全燃焼でした。それは猪木の映像でけでなく、3話ほど「猪木と時代をともにした当時の少年や高校生、社会人のフィクション(創作された物語)」が結構な尺をとって挿入されていた点です。 もちろん当時そうした物語は日本中のそこかしこであったでしょうが、本作であえて貴重な猪木の戦闘や言動の映像を削ってまで挿入することには議論の余地があるように感じました。
できれば、モハメドアリ戦はもちろん宿敵タイガージェットシン、ハルクホーガン、スタンハンセン、ブルーザブローディといった素晴らしいライバルたちとの命を張った対決の映像が大画面でもう一度観れると思っていただけにやや残念でした。もちろんこれはわたしの個人的思いでありいろいろな考えがあるとは思います。
ちなみに本作には福山雅治さんがナレーションを付けており、制作も芸能事務所「アミューズ」になっていますので、もし「アミューズ」さんが猪木のさまざまな格闘画像の権利を持っているのであれば、ぜひ「アントニオ猪木・闘魂の轍」とかのタイトルで、猪木の実映像や舞台裏の背景や後日談を中心としたバイオグラフ的な格闘の歴史作品を映画(ビートルズで言えばずばり「コンプリート・ビートルズ」のような作品)として制作してもらいたいと思うのはわたしだけでしょうか? 何も畏れず闘う魂・闘魂。これを忘れかけている我々日本人には素晴らしい喝になることは必定であり、結構ヒットすると思うのですが、ダメでしょうか・・・。是非とも検討の程よろしくお願いいたします。