先日、久しぶりに仕事で京都を再訪してきました。保育園から小中高校まで同じ道をたどった竹馬の友や高校の同級生数人が京都大学に進学していた関係で、京都は若い頃から数えきれないほど訪れている麗しの街です。
わたしにもかつて若き思春期のころがありました。その時期わたしにとって京大は憧れの大学であり、高一の春、日帰りで同じく京大好きだった竹馬の友と青春18きっぷで京大見学(愛知から往復200キロを超える京都への道程は家族には秘密の旅でもあり高一のふたりにとっては結構な冒険でした)に訪れたり、高校の友人から勧められて「吉田寮」(彼はその後京大に進学し「熊野寮」に入寮します)での生活を基にした実話を描いた岩波新書「紅もゆる」を読んでからは、その世界に憧れ「いつか京都で学生生活ができれば、どんなに素晴らしいだろう」なんて夢想したこと数百回ありました。しかし残念ながら縁がなかったようで、京都の学生として学生時代を過ごすことはかないませんでした。それでもその当時京都で知り合った友人のなかにはいまも京都在住の方もいたりするので、距離的には遠くてもこころのレベルではいつも近くにある街です。
そんな個人的思いの強い街でコロナも落ち着きをみせて久々仕事のセミナーで京都を訪れることになったのです。宿泊ホテルは京都駅直結のグランビアホテル。お約束のローマのスペイン坂のごとくイルミネーションに映える長い階段も昇ってきました。そして朝、世界的にはとっくにコロナ終結している影響か朝食のビュッフェは白人だらけの会場にやや戸惑いながら「さすが世界的観光地京都だな~」と感心し、セミナー会場はホテルオークラ京都(ここは長州藩邸跡で桂小五郎の像も玄関脇にありました)でした。 無事しっかり仕事を終え、このまま京都駅に直行し、帰広すると思いきや、ささやかな郷愁に誘われて、美味しい京都ラーメンも食べたくなり、2条の「麺や 高倉二条」での腹ごしらえを皮切りに、街角の品ぞろえの素敵な本屋さん「レティシア書房」に寄ったり、本能寺に寄ったりしながら、気づけば桂川の三条大橋に出て、そのまま西の河原(今回の写真です)に降りて三条から五条大橋(国道一号線)までを歩き、その後南西に向かい、高瀬川沿いを伝い歩き、七条まで降りて、スタッフから推薦されていた京都タワー登頂初体験を経て、無事京都駅にたどり着き、帰ってきました。
もちろんもう何度も何度も歩いたことのある既知のコースなのですが、そこで見かける人々はつねに異なり、歩くわたし自身も以前の心境とはもうまったく異なった視点をもってしまっており、いつも不思議と楽しめるのです。この日もしっかり京都の風景に抱かれながらの散策を満喫させてもらいました。初めて京都の街を友人とふたりで訪れたあの高一の春からいったいどれぐらいの年月がたったと考えると、「思えば遠くへ来たもんだ~」と鼻歌でも歌いたくなりつつ、これから自分に残された時間をどのように充実したものにしていこうかという思案にもふけったりしながら、気づけばJR京都駅に着いていました。
広島に帰れば、また日常の仕事が待っていますが、それも捉えようであり、次の京都を訪れるまで日々懸命に生業をこなせば、また今日のようなご褒美の時間もやってくると信じ、スタッフや家族へのお土産を買いこみ、新幹線での帰路に着きました。
ありがとう、京都。また来させてください。