本作を冬の気配も近づきっつある肌寒い夜に、T-Joy東広島にて鑑賞してきました。意味深なタイトルであり、いったい何が護られなかったのだろう?という探求心を持っての修行となりました。主演も大好きな阿部寛と佐藤健ですし、思わず気合も入ります。
観終わって、しっかり複数の答えを見つけることができたものの、うーん、そう来たか~という重い重い答えでした。
悲劇の東日本大震災の結果、多くの喪われてしまった命たち。自然による直接的なものもあれば、その後の人間の無作為によるものもあり、それらを受けて諦念と怨恨を伴いながら、それらが複合的に絡み合い物語が進んでいき、悲しい犯罪が恨みを持つものによって引き起こされます。そしてついに衝撃の告白が吐露されるラストシーンに結びつきます。この告白の内容を偶然の皮肉と捉えるか、必然的な運命の巡り合いと捉えるべきか、いやはやいろいろ考えさせられました。
東日本大震災による悲劇を基にした作品は数多制作されましたが、本作はフィクションであるものの、おそらくこれに近い話は現実に存在したであろうことは想像に難くなく、何気ない日常に感謝したくなる気持ちで、肌寒い秋の夜に車を滑らせ帰宅しました。
P.S.本作のラストのふたりのやりとりにこころが揺れガビーンと来た人におすすめ作品を。それはクリントイーストウッド監督の「チェンジリング」です。これは100年ほど前に実際にアメリカで起こった実話を基に作られた子ども失踪事件のなか我が子を探し続ける女性の映画ですが、切ない展開が続き、ラストに生き残った子どもからの告白が訪れます。この告白の内容に、当時まだ若かったわたしは映画館の椅子からずり落ちるほどのガビーンとくるショックに襲われ、その後エンドロールの間にこぼれ落ちていく涙が止まらなかった記憶が残る作品(わたしにとっては30作に一度ほどある現象です)です。クリントイーストウッドならではの傑作でもあり、事実に基づいた衝撃作と言えるので、本作のラスト以上にこころが揺れること請け合いです。未鑑賞の方は是非一度鑑賞をおすすめします。