孤狼の血 LEVEL2

本作を秋の夜長にT-Joy東広島にて修行してきました。前作に引き続き、広島市と呉市を主な舞台としており、地元を舞台とした作品なので当然観ないわけにはいかない作品です。

 

観終わり、いやはや映像、音声、ストーリー展開の豪快さに圧倒されました。しかしなぜかほっとするラストに一安心。映像の迫力、画面いっぱいに広がる暴力、アクションのスピード感、人を人とは思わぬような突き抜けた倫理観、さまざまな人が背後に抱える事情の複雑さ。それらが大画面いっぱいに花火のように炸裂し、痛快エンタテインメントになっていました。

 

ただし前作もそうだったのですが、冒頭に生理的にかなりきつい残酷悪烈シーンが繰り広げられており、この先一体どんなことになってしまうのか?という心配に陥ります。しかし意外にその後の展開はそれほど悲惨な残酷場面は出てこず、この冒頭の強烈シーンさえ乗り切れば後はなんとかいけるのですが、とくに女性にとってはなかなかの関門ではないでしょうか?

 

映画の展開としては、地元だけに、よく知り慣れた場所(とくにあの基町アパートが印象深く使われていましたね)もたくさん出てきてわくわくハラハラの2時間でした。最後に英国のスパイ映画のように、「なんとこの人がスパイだったのか?!・・・」というオチも素晴らしく、そのスパイの成れの果てもさらりと映していますが、聴衆納得の結果になっており、本筋の展開もあわせてかなりのカタルシスが得られること請け合いであり、ここまで暴力と破壊を赤裸々に真っすぐに表現できるとは、さすがの白石監督印の作品になっていました。

 

P.S.本作は主演の松坂桃李くんも素晴らしいのですが、なんと言っても敵役の鈴木亮平さんの演技が活かしています。悪もここまで突き抜けると清々しさまで感じさせるほど生きのいい悪役ぶりでした。彼はテレビでも映画でも出演すれば常にその役になり切っており、彼の出ている作品はその演技を観るだけでも十分元が取れるという、映画鑑賞の素敵な指標になりつつあります。彼の次回出演作も楽しみです。