本作を9月を数日後に控えた夏の終わりの夜に、T-Joy東広島にて鑑賞してきました。松竹100周年の作品であり、日本映画の重鎮であり、今年で御年90歳を迎える山田洋二監督作品である本作は映画好きであれば、避けては通れない作品であり、上映を楽しみにしていた作品でもあります。
若き日に自分の理想とする映画の製作を夢見ながら、ちょっとした不運が重なり、実現せず、田舎にこもっていた古き青年が、ひょんなことからもう一度若き日の情熱を思い出し、奇跡のような映画製作を目指していくという映画を中心にさまざまな夢を追ってきた人々の物語です。
山田監督の作品はいつもそうなのですが、日本の大衆文学の世界をそのまま映画に翻訳したような作風(小津安二郎監督ほどではないですが)であり、古き良き日本の空間と音をフィルムを通して送り届けてくれます。本作もそんな穏やかな風と人情がしっかり根付いていました。
それにしても、ゴウの晩年を演じた沢田研二さん。悪くはないのですが、これがもし志村けんさんだったら、さらにはまり役としてスルメイカのような味わいになったのでは・・と夢想してしまいました。
いずれにせよ映画館で体験できてよかったと思える作品であり、山田監督の次回作品がまた楽しみになりました。