本作を偶然みかけた印象的な予告編につられて、春遠からじの2月中旬にT-Joy東広島にて修行してきました。「動機はそちらで見つけてください」と語った、父親殺しのアナウンサー志望の女子大生の娘の投げやりなセリフ。このセリフだけでいったい何が本作には隠されているのだろう?という気持ちになり、広告コピーとしても出色の出来だと感じていました。
物語は、公認心理士の主人公とその義弟となるイケメン弁護士の過去にも遡りながら、徐々に事件の真相を暴いていきます。ラストはなるほどそう来たか~という終幕を迎えますが、事件の発端となった女子大生のトラウマはかなり独特のものであり、「人はそれぞれのこころとからだと価値観をもつ」というのは、わたしのような仕事に従ずるものにとっては、常に心掛けなければならない命題ですが、まさに本作はそれを表現していたような気がします。
有り体の家族ではないが故の、母親による、夫に対するひけめを伴った娘への無理解、傲慢さがこの物語の多くを占めていましたが、謎を追う心理士の過去にも親に対する重大な闇があり、それらが事件の犯人?の女子大生の心象とかぶってきます。
上出来の心理サスペンスを観させてもらいました。それにしても、親の不用意かつ身勝手な言動というのは、いかに子どもに影響をもたらし、ときには子どもたちの未来さえ変えてしまうことを本作は警告しており、わたしもしっかりそのメッセージを受け取らねば・・なんて思いながら春の気配が匂いつつある闇のなかを家路に向かいました。