本作を暮の押し迫った夜にわが街の映画館T-Joy東広島にて観てきました。残念ながらまばらな映画館でのゆったりした鑑賞でした。
アイドルとしてだけでなく、俳優としてきらりと光っている二宮和也さんの最新作です。今回はカメラを通じて家族の夢をとらえ、写真のなかでの実現を果たし、それをそのまま作品とし、写真家世界の芥川賞と呼ばれる木村伊兵衛写真賞をとった浅田政志さんをモデルにしています。
びっくりするのはこれがほぼ実話ということです。お父さんが専業主夫でお母さんが看護師をしながら働き頭で一家の大黒柱。その普通とは異なるちょっと変わった環境のなかで思ったことをそのままやりたいようにやりながら成長していく少年。
まるで70年代中盤のジョンレノン家族のような、ほんわかして温かい家族が、わが故郷愛知のお隣三重県の松坂に実在していたということに驚かされました。加えて、写真を通して、家族の温かい感触がどんどん拡大していき、悲劇の災害を越えてやがて日本全体にしみ込んでいった奇跡を追体験するような時間となりました。
振り返ればわたしも変わった家族のなかで育ったという点では人語に落ちないのですが、それがこんな素晴らしい形で昇華していくというのは奇跡であり、人の世の物語は途方もなく、これこそが人生の意味なのかも・・・なんて思えた夜でした。