本作を木枯らしが吹きすさぶ夜に観てきました。角川春樹監督渾身の一作という触れ込みの作品であり、まだ若き頃彼のプロデュースによるあの"読んでから観るか、観てから読むか!?”のコピーが有名な「人間の証明」「野性の証明」「戦国自衛隊」「セーラー服の機関銃」といった錚々たる角川映画の作品群による洗礼を受けてきた小生などにとってはやはり避けては通れない作品です。
作品としては、美しくも切ない物語が編まれていました。幼き頃、同じ地域で生まれ育ち魂が通い合った親友が、生来の厳しい境遇に加えて天災にも遭ってしまい離れ離れになってしまう。その波乱万丈の人生を通して、お互い必死に生き抜いた後に訪れる運命的な再会。
お互いもう振り返ったり戻れない厳しい世界に所属し、お天道様様の下ともに会ったりゆっくり語ることさえはばかられる境遇になってしまいながら、子どものころに交わした暗号のような言葉によって、確かに幼馴染のふたりであることを確認するくだりは思わず泣けてきます。
それにしてもすごい直球でした。微妙な変化とかあえてつけずにストレートど真ん中です。久々渾身の剛速球を受けた捕手のような心境になりました。
この時代にあえて一切の外連味も加えず剛速球で勝負する角川監督の男気を観た作品となりました。角川監督、監督の久々の料理は非常に美味でしたよ。御馳走様でした。またの料理も期待しています。