本作をまだまだ続く秋の夜長にT-Joy東広島の一番シアターにて観てきました。太平洋戦争の分岐点となったミッドウェイ海戦を描く超大作です。
ミッドウェイ。以前映画「山本五十六」でも書いたと記憶していますが、歴史好きの日本人としては何とも重苦しい響きを持つ言葉であり、文字通り我が国の命運を分けた戦いの場所です。
また世界史的にも、世界一広い太平洋という海洋のなかの米粒のような小さな島をめぐって両国が命運をかけて一点で激突したという稀有な海戦であったような気がします。
本作はアメリカ側からの視点がもちろん中心ですが、日本側の内面もまずまず書かれています。
山本五十六の賢明すぎるゆえの諦観漂う戦略、南雲忠一の自国への誇りゆえに敵国を甘く見過ぎた油断、山口多聞の鋭利でありながら生かされなかった戦術眼なども軽くですが表現されています。
しかし何より本作の素晴らしさは、この複雑で深遠なる海戦を映像と音響を通してしっかりと迫力十分に表現していることではないでしょうか?
これまでミッドウェイや真珠湾を描いた映画を数々観てきましたが、これに関しては最高傑作であること間違いなしです。T-Joyの1番シアターにての鑑賞でわたしもすっかり圧倒されました。
いつもミッドウェイ海戦のことを考えると、世界一の技術を持ちながら、空母から飛び立つこともできずに海に散った数多くの優秀な零戦パイロットや艦とともに敢えて沈んだ山口多聞らのことを感傷的に考えてしまうわたしですが、本作により戦争の多面性、複雑さ、迫力と残酷さ、悲しさを今さらながらに思い出させてもらいました。
歴史的にこうした戦いを経験した子孫である我々は、未来永劫にこうした戦いを選択しなくてもいいように日頃から生きていきたいものです。