本作を年の押し迫った寒い夜に、T-JOY東広島にて鑑賞してきました。実在する全盲の歌手アンドレア・ボチェッリのライフストーリーです。
こういった芸術家の人生を表現する作品は、広島市内にあるサロシネが得意とする分野であり、わが東広島にて本作が上映されるというのは、結構世界的にヒットしており、かなりポピュラーな作品なんだろうな~という憶測をもとにしての修行となりました。
幼いころに体質と事故が重なり、ほぼ全盲になってしまったボチェッリ。しかし、彼自身の眠る才能と音楽への強い憧れと想いが彼を素晴らしいオペラ歌手に導くまでの物語となっています。途中あきらめかけたときに、妻をはじめとする家族の励まし、彼の才能を信じる厳しい声楽の先生らが、アンドレアを後押しし、結局彼は大きなチャンス(イタリアのロックスターにチャンスを与えられるというのが嘘のようなホントの話です)をつかんでいきます。現存するレジェンドの半生を描いた佳作となっています。まるで作り話のような本当の話であり、素晴らしいオペラのコンサートシーンもあり、世界的にも受け入れられるのも当然の作品でした。
個人的にさすがだな~と感じたのは、幼少時からの全盲にも関わらず、大学法学部を卒業し、法律家として一時期働いていたことです。目が見えないというのは、おそらく手足がないことよりもハンデとしては大きく、わが国でこうした人の存在を寡聞にして知りません。これは本人の努力もですが、家族の支え、社会の理解協力がなければ、なかなかできないことです。イタリア・トスカーナ地方の素朴な自然のなかに流れる美しい音楽とともに、奥深い社会的資源の存在も感じたりし、寒い季節にこころを温めて帰宅することができた作品でした。
ジャンルを問わず、美しい音楽やイタリア好きには必見の作品でした。