本作をなかなか梅雨いりしない不思議な天候が続く、7月の夜にT-Joy東広島にて修行してきました。 最近、きな臭い東シナ海の島を巡っての自衛隊、政府の葛藤を描いた作品です。
原作では明らかに尖閣諸島をめぐる中国との紛争なのですが、映画ではさすがに差しさわりがあるようで、そのあたりは婉曲的に表現されていました。
もちろんあくまでも映画なので、そのあたりにはあまり踏み込みすぎず、現在の日本の専守防衛だけで有事に対応できるのだろうか?といろいろ考えさせられる内容になっており、それはそれで楽しませてもらいました。
現在このように世界が混沌としつつあるなかで、日本にはいまだ空母といえる船はない現状であり、このことにも本作は異議を申し立てているようにも受け取りました。そして有事に際しての、洋上の空母内で緊迫した決断、空軍出身の艦長と海軍生粋の副艦長との戦争に対する考え方の相克が心の葛藤として静かに描かれています。
こういう映画を見るたびに、わたしにしても、平和がいいに決まっていますが、そのために武器を使用するか否かを含めて、平和をどうしたら実現できるかをときに考えたります。現状では隣国の侵攻から国土を守る最低限の武力は必要だと感じざるを得ません。しかし、本作のなかで起こったように、そうしたなかで必ず家族を支える貴重な人たちの命が奪われていくことが避けられず、それでも国と国とは戦わざるを得ないのだろうか・・と重い気持ちになって、映画館を後にしました。
P.S.本作のテーマとなった航空母艦ですが、航空母艦といえば、日本は歴史上、あのミッドウェー海戦においてほぼすべての空母が全滅してから、建造していないと思うのですが、あの日本にとって痛恨の戦いとなったミッドウェー海戦をもう一度映画的にうまく表現した作品を観てみたいものです。かって「山本五十六」という作品でなかなかいい感じで描かれていましたが、南雲中将の判断の是非、運命の6分間、山口多聞少将の飛竜の敢闘等々を含めてミッドウェー海戦というのはスケールが大きく日本の歴史上大きな意味を持った大敗北と喫した海戦であり、この戦いの全容を我々日本人がいつか直視できる日が来なければ、再び航空母艦建造への道は踏み出せないのではないだろうか?ということを考えざるを得ない気持ちにしてくれた本作でした。