ファースト・マン

本作を公開間もなくT-Joy東広島にて鑑賞してきました。あの傑作「セッション」「ラ・ラ・ランド」を世に送り出したデイミアン・チャゼル監督待望の新作です。

 

ファースト・マンとは、人類で初めて月に降り立ったニール・アームストロング宇宙飛行士を指します。彼自身、かわいい幼子を病で喪う心的外傷体験を皮切りに様々な苦難や仲間との別れ、出会いを繰り返しながら、人類史上初の偉業の達成までを、事実に即してどちらかというと淡々と抑制的に描いています。

 

監督の前作までの作品はどちらかというとファンタジーで快活で夢のある物語であったのが、今作では実際にあったリアルであり、解説などによると当時のNASAのリアルな雰囲気(訓練場やロケットのコックピットなど)を映像にして再現しているのが圧巻であるという事前の情報を持っての鑑賞になりましたが、どうしてどうしてまだパソコンもなく携帯もない時代のコックピットの動くと音がするようなアナログなメーターなどリアルすぎて、よくこれで月に行けたな~という感慨とともに、アームストロングのパイロット仲間が次々と実験中の事故で亡くなっていき、その妻らが未亡人になっていく現実もしっかり織り込まれており、リアルな宇宙への道は平坦でなく、単純な夢物語などではなかったということがシビアに表現されており、主人公を演じたライアン・ゴズリングの前作とは異なる抑制的な演技も現実は甘くないということを如実に表現して、これはこれで悪くないと感じました。

 

実は鑑賞前は、爽快で明るい意気揚々な鑑賞後を期待しての本作でしたが、予想に反してちょっぴりしんみりしたものになりましたが、映画の出来は素晴らしく、人類の偉大な足跡をリアルに表現した作品で観てよかったと思いながら帰路につきました。

 

P.S. かつてトンデモ説ですが、本当はアメリカは月面着陸を実現しておらず、あの月面着陸も、ソビエト連邦に宇宙開発競争に後れをとり焦っていたアメリカが自国の広告代理店に秘密裡に依頼して仕掛けた壮大なスタジオ制作(空気のない月面上で地面に突き刺したアメリカ国旗が風にたなびいている・・などの疑念が指摘されたりしました)ではないか?という意見がありました。わたしもそれを読んで、当時のアメリカならやるかも・・なんて思ったりしていたこともありましたが、本作を観て「やはり人類は本当に月に立ったのだ」という想いを新たにしたりしましたよ(笑)。