華氏119

本作を秋の深まったクリニックの休日の午後に、広島市内にて広島映画界の至宝・サロンシネマにて修行してきました。

 

あのマイケル・ムーアがついにトランプ・アメリカ大統領の黒い内幕をすべて実際の映像を使って暴くという実録ドキュメントです。かつてブッシュ大統領を同じ手法で描いて痛快大ヒットを出したことは今も記憶に新しく期待を抱いての鑑賞となりました。

 

予想通りというか、かなり痛快な作品になっています。これはもう実際に見て、抱腹絶倒に笑うか、怒り心頭となって顔を真っ赤にさせるかしかなさそうです。

 

個人的に衝撃だったのは、なんと実は民主党候補選においてあのサンダース候補のほうが各地で圧倒的にクリントン女史の得票数を上回っていたのにかかわらず、それが党の幹部らに打ち消されていたという下りです。

 

わたしからしても、大統領選挙においては、民主党候補のクリントン女史はその長いキャリアのなかで、さまざまな金と権力にまみれ、富裕層や権力側と癒着しておりあまりにも敵が多く(トランプも好きでないが、クリントンが大統領になるぐらいならトランプに入れたという話もアメリカ人から直接この耳で聞きました)、これは負けても仕方ないという印象を持たざるを得なかったのですが、もしこの下りが本当なら話は変わってきます。

 

クリントン女史よりはサンダースのほうが国民、とくに黒人、学生、労働者、貧民層の支持を強く得ていただけに、もしや現大統領はトランプの全く反対の主張を掲げるサンダース大統領が誕生していたかもしれないと考えることは痛快な想像でした。

 

しかしよく考えてみると、アメリカという超絶資本主義の弱肉強食の国で、コミュニストに近い主張の大統領が誕生していたら、それはそれでまた別の混沌を導き出していた可能性があり、世界にとってはどちらがよかったんだろう?という決して答えの出ない問いがぐるぐる回るようになった一作でした。