本作を秋の深まりつつある夜長の夜更けに、地元東広島ロケの注目の映画として期待を持って鑑賞してきました。
わが街地元の作品だけにどんなところでロケをしたんだろうという気持ちもあり、映画を観ていても「ここはあそこだな」とか「ここをこういう風に撮っているんだ」といった感慨が先にたって、正直あまり冷静な鑑賞とはいえませんでした。
しかし映画のラストで、ワイン好きで日本酒が苦手だった主人公がさまざま体験を経て日本酒のことを見直したどころか、好きになり、心を通い合った人への想いを抱きながら、西条という地で得た素敵な体験をこころに抱きながら、そこを離れてくというシーンに直面するに至り、なにかじんわりとほんのりとした気持ちが自然に心にわいてきました。
いろいろな意見もあるでしょうが、わが街西条を舞台として、誰もがかつて経験したはずの普遍的な心の成長と人との絆とその喪失を描いており、鑑賞に値する十分な作品になっているという感慨をわたし自身は持ち、東広島市民だけではなく、全国の皆さんにぜひとも観てほしいな~という思いを抱きながらの帰路となりました。
P.S.地元の人なら自然に気づくとは思いますが、舞台であるはずの西条の酒蔵街については、その独特な見栄えのいい石畳の通りや空から見た酒造群の煙突の風景はあるものの、主人公の研修する古くからの酒造や、到着と旅立ちの舞台となる西条駅、素敵な瀬戸内の海が見える山々などは安芸津で撮影されています。しかし安芸津も東広島市内なわけであり、西条の映画というよりは、東広島市の映画と考えれば全く問題ないわけで、東広島を舞台とした素敵な映画だったと思います。