妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ

本作を例によって、仕事の終わった深夜にまだまだ肌寒い風を感じながら、T-JOY東広島にて修行してきました。

 

本作は「専業主婦への賛歌」がテーマというだけあって、笑と涙をふりかけにように振りまきながら、しっかりを社会問題を考えされられる映画的醍醐味のある作品となっていました。

 

山田洋二監督の落語的諧謔性というフィルターを通して、現代社会における矛盾や理不尽に対して軽やかに光を当てる作品になっており、映画好きなら文句なしの、笑あり涙ありという、まとまりの良さやおさまりの美学を貫いた、素敵な小品になっていました。

 

この作品はまだまだ続きそうで、どうやら「家族はつらいよ」は「男はつらいよ」に続く、山田監督のライフワークになりつつあるようですが、本シリーズの源泉というべき傑作「東京家族」(名作「東京物語」のリメイク)は本シリーズには数えられていません。このあたりについては、小津安二郎監督へのリスペクトとともに山田監督なりの矜恃があると感じているのはわたしだけでしょうか?

 

P,S.本作では橋爪功演ずる平田家の家長の実家として、広島県の大崎上島が出てきますが、江田島、蒲刈島と並んで、大崎島も最近よく映画の舞台となっており、広島県民としては喜ばしい限りです。