グレイテスト・ショーマン

2月の終わりのまだまだ寒い夜に本作をT-Joy東広島にて鑑賞してきました。

なんでもあの名作「ラ・ラ・ランド」のスタッフが集結して作ったという触れ込み(ただし監督は異なります)だったので、運よく大シアターの1番シアターでもあり、期待も高まっての修行となりました。

 

本作は、アメリカにおけるショービジネスの世界の基礎を実際に築いたと言われるP.T.ボーナムの半生記を描いた作品です。劇中歌の「This Is Me」も素敵な曲ですし、他の楽曲もなかなかいい感じでした。ミュージカル映画好きとしてはもちろん及第点に到達していました。

 

物語としては、社会からあぶれがちだった、さまざまなフリークスを集めて、見世物ショーにとどまらず、彼らに唄って踊ってもらうことによって、痛快なエンタテイメント(アメリカ流サーカス)にしてしまうという素晴らしい着想を得て成功していくボーナムを音楽を交え、カラフルに描いています。

 

そんな先進的なボーナムの発想も芸術評論家たちには評価されず、社会的評価を求めて、ヨーロッパの歌姫のアメリカ公演を演出するのものの、本来の劇場の経営がおろそかになり、苦境にたたされていく苦境のなか家族との絆に気付き、劇場を再興し、最後は劇場の運営から身を引き、後輩のフィリップに任せ、家族に戻っていく、かっこいいボーナム。

 

本作を鑑賞するにあたっては、音楽と登場人物らのショーマンシップを単純に楽しめばいいのでしょうが、どうも不思議な違和感・・。本作は実話ということですが、ボーナムはこんな潔く一線を引いたのだろうか・・?という素朴な疑問を持ってしまいました。

 

蛇足ですが、ボーナムのグレイテストショーの構成世界にはどこかでかつて見た覚えが・・と感じいろいろ思案した結果、ふと思い出したのが、いまも日常的に愛聴し敬愛するボブ・ディランのアルバム「地下室」の裏ジャケットです。

 

まさに本作で観たショーの世界と「地下室」の裏ジャケットの世界はシンクロしており、ディランがジャケットに採用するほど、ボーナムの作った世界は確かにアメリカのショービズに影響を与えたことを妙に実感し、なんだか演劇と音楽が繋がったかな~という感慨を覚えながらの帰路となりました。