本作を梅雨の終盤、徐々に夏の訪れをいやおうなしに感じる7月の優しい夜に修行に出向きました。
予告編を観る限り、かなり観客を煽るセンセーショナルな作品になっていることが予想でき、そうした心構えで映画館の暗闇の席に着きました。
ところが意外や意外、結構ヒューマンな内容な作品でした。サスペンスではあるものの、いい意味でこちらの予想を裏切る展開が待っていました。
観終わったあとに残る、犯人の動機があるようでないような微妙な悪意に対して、もしこんなことが現実にあったら、理不尽でやりきれない思いに胸が張り裂けそうになりました。
正直、フィクションでよかったと思わされるほど、最近実際にあった事件やイベントを想起させる内容であり、強い物語の磁場を本作は構成していました。
本作の原作は元々外国作品であったものを日本向けに書き直したものだそうですが、日本で実際に起こった時事問題とうまくからめており、制作サイドの物語の創作力に感心しきりのなか、夏に向かう夜のなかひっそりと家路に着きました。