先日、予告編での主人公のダイビングがかっこよく印象に残っていた本作をT-Joy東広島にて鑑賞してきました。なんでも原作は世界的に人気を博したゲームであるとか。わたしはゲーム関係をまったくやらないので、映画が本作の世界観の初体験となります。
いやはや本作を観終わって、びっくりしました。まるで宝塚のショーのような印象を受けてしまいました。アクションや映像そのものの迫力にはうなるものがあるのですが、ゲームにてその世界観を前もって持っていないことには、物語そのものには入り込むことが難しいのではないか?と思ってしまいました。
テーマそのものは、かつてダビンチコードでも取り上げられた、テンプル騎士団とアサシン教団との暗闘であり、これはこれで歴史好きなわたしにも、ヨーロッパの闇歴史探求として大変興味をそそるものなのですが、いかんせん設定そのものの説明が少なすぎて、映画を観ただけではまったく腑に落ちない点が多かったのがもったいなかったです。
主人公カラムが、どんな罪でアメリカで死刑囚(終身刑がほとんどのアメリカで死刑囚というのはよほどの罪を犯している??)になっているのか?、その彼がほとんどタイムスリップともいうべき手法によって、中世紀のスペインにタイムトリップし、実際にそこでイメージか現実か判別しがたい状態で敵を粉砕し大活躍するのは認めるとしても、せめて観る者が一応了解できるような技術的説明がもう少し欲しい。天才科学者の発明というだけでは、まるでドラえもんのレベル?、アサシンが最後は対抗するテンプル騎士団の末裔を皆殺しにするものの、この確執の深い闇の対立がこんな簡単に決着に向かうの?・・・などなどつっこみどころというか、物語に一定の了解や流れなどを求めてしまうようなわたしのようなタイプには久々に「うーん、そうきたか~?!」とうならされるような体験となりました。
そうはいっても本作は、中世期のスペインのリアルな街並のなかで、主人公カラムがダイブはする姿は美しく、屋根から屋根へ忍者のように敵をばったばったと倒していくアクションはスピード感や痛快感にあふれ、中世スペインの街並も素晴らしいリアルさと美しさであり、ゲームで本作の世界観をすでに身に着けている方には映像として十分堪能できそうです。
独立した映画なのだから、物語としての体裁をせめてもう少し整えてほしかった・・と考えながら、一方でゲームを楽しんでいる若いファンからは「単純にゲームで表現された世界の実写の迫力をつべこべ言わず楽しめばいいわけで、本作に物語の設定とか流れとか因果関係を求めるなんてナンセンス、感性が古いんだよ~」なんて言われそうでもあります。
感性という夜の闇を覗いたような、微妙に困惑した思いを抱えながら、まだまだ寒い冬の夜道のなか家路に着きました。