平成28年9月10日土曜日は広島県民および全国に広がる熱狂的カープファンにとっては記念すべく一日になりました。カープ25年振りの優勝。宿願達成おめでとうございます。次は日本一ですね。ぜひあと2回胴上げを期待しています。
それにしてもついにやりました。わたしにとってもカープ優勝は感慨深いものがあります。前回25年前の優勝は広大進学のために広島に来て間もなくの事件であり、当時の優勝を覚えている方はもう少ないかもしれませんが、8月末ごろには中日に3.5ゲーム差ほどをつけられながら、佐々岡を中心にそこから猛反撃し、中日のエース・今中との直接対決をことごとく制し、逆転優勝を果たしたのです。津田が病に倒れた年でもありました。当時のカープにとって優勝は3,4年に一度はするというのが通常で、まさか以後25年も優勝から遠ざかるとは思いもしなかったでしょうが、そこから25年の長きにわたるうっ憤の蓄積もあり、わたしが直接友人や知人らから感じただけでも、広島市だけに限らず、ここ東広島でも、福山でも、大分でも、ファンの熱狂と陶酔は目を見張るものがありました。
振り返れば、昨年、黒田がメジャーの20億円を蹴って、4億円のカープを選んだ時点でこの奇跡は始まったといえます。それに連動して、阪神ですでにレギュラーからはずれ自由契約になっていた新井のまさかのカープ復帰。以前にこのブログでも書きましたが、新井はいまでこそ自ら「カープ愛」を公言していますが、当時のカープやカープファンにとって、新井のFAによる阪神移籍は完全なる裏ぎり(まるで金色夜叉のお宮のよう?)であり、新井のカープ復帰にも球団幹部のなかで賛否両論だったそうですが、松田オーナーによる「黒田がせっかく広島に帰ってきて話し相手がおらんではつまらんじゃろうがー」の鶴の一声?によって、新井の獲得への方針が決まったそうで、再入団後の新井は生まれ変わったかのように望外の活躍をし、優勝にも多大な貢献したわけで、黒田の存在がなければ新井も不安で復帰を決断できなかったとも考えられ、なおさら黒田の復帰決断は重要だったといえ、黒田さまさまなのです。
しかし、黒田をはじめ今年とほぼ同じメンバーがそろい、さらには日本球界屈指のエース・マエケンもいて、開幕前に圧倒的な優勝候補と言われた昨年に優勝できずに、なぜ今年優勝できたのでしょうか?(私から見ても昨年の段階でセ・リーグではカープは他チームを圧倒する戦力でした。)
それは、20年以上も下位に甘んじたチーム状況に慣れ過ぎ、おそらくファンも選手も「優勝」というイメージがこころのなかにしっかりと置く事ができず、ふわふわと地に足がつかない状態で、シーズンを迎えてしまい、本来ある潜在的な力を出し切れなかったのではないでしょうか?
加えて、メジャー入団を控えて、数年前から投球数にこだわり、チームの大黒柱なのに、完封ペースでも規定の投球数に近づいたらあっさり降板するエースの存在も、チームの士気にも影響したのかもしれません。(もちろん彼にとっては、メジャーに入るための必要な個人的方策であり、なんら責めるべきことではないです。しかしチーム一丸として優勝をめざすムードを醸成する障壁となったかもしれません)
そして結局なんとあの粒が揃った戦力でCSをも逃す4位という体たらく。さすがにこれには菊丸コンビをはじめ、監督・選手も目が覚めたのではないでしょうか?まさか優勝できるとは思っていなかったが、マエケン、黒田がいて4位とは・・・。ファンも失望が大きかったはずです。
さらに黒田も現役続行を決めたものの、あと1年かもしれない・・。黒田がいる間に優勝しなければ、いつ優勝する?・・・との危機感が選手全体にも湧いてきたでしょう。同時に、これだけ優勝を願ってくれるファンの熱意を感じ、いまやらなければいつやる・・という気持ちにもなったはずです。そしてその結果、秋から春にかけてのオフシーズンの切磋琢磨はすさまじいものがあったと考えられます。その懸命の努力こそぶっちぎりの優勝への伏線となったのではないでしょうか?(まるで昨シーズンとは別人のような菊丸の活躍などその証左でしょう)
ファンにしても同様で、まさか優勝できるとはと思いながら、結局CSまでも逃し、来年こそは・・・という想いに拍車がかかり、それぞれのファンのこころのなかに「優勝」というイメージが徐々に明確に醸成されていき、想いは選手のそれとうまくシンクロし噛み合ったのが今シーズンの大躍進の素であったような気がします。わたしも今シーズンは例年より少ないながらも、3度、マツダスタジアムに足を運びましたが、その応援は個人個人から湧き出るようでありながら、全体として一体感があるカープファン独特のものであり、他球団の応援には絶対にないものでした。個々の思いがそれぞれ強くなると、ついには現実世界が共鳴し、まさに全体に波を起こしたという印象でした。
選手もその情熱溢れる応援に応えて、「野球に勝つために必要な特別な何か」を感じさせてくれるプレイが相次ぎました。菊池のひとつひとつのプレイ、鈴木誠也の奇跡的な打撃、黒田の顔を歪めながらの熱投などなど・・はその代表です。緒方監督の「神ってる」という名言も入れてもいいかもしれません。
緒方監督はかつて選手時代の全盛期,FA権取得時に、ある優勝を争えるチームから「3年10億円」のオファーを受けたにもかかわらず、カープ愛のため断腸の思いでそれを断り残留したという過去の事実が今日のスポーツ新聞(わたしも記念に複数紙を買いました)に載っていましたが、黒田にしても、菊池にしても、丸にしても、鈴木にしても、さらには新井さえも、チームのひとりひとりが個人の利益のためでなく、チームのために、ファンのために、優勝のために・・との想いで団結し、ファンはファンでようやく優勝への想いの熟成、こころの準備がしっかり整い、ついにチームとファンの優勝への信念と行動とが固く結びついた結果がこの記録的なぶっちぎりの大差での優勝に結び付いたと思います。
こうした、チームに関わるすべての人たちの情熱と行動と結果が結びつき実を結んだ優勝は過去のプロ野球の歴史でも希有のことであり、誇っていいのではないでしょうか?
なんだか使い古され垢のついた「FOR THE TEAM」という言葉がこころに新鮮に復権を果たしたのはわたしだけだったでしょうか?
たかが球投げ・球打ちのスポーツになにをそこまで熱く語るの?・・・なんてプロ野球に興味のない方(わたしもどちらかといえばサッカー好きです)からは言われそうですが、わたし自身としては長年さまざまなスポーツを観てきたなかで、今年のカープにはプロ野球という枠を超えた特別なほとばしるもの、奇跡的ななにかを感じさせられたので、こんな駄文をしたためてみました。
あらためて、すべてのカープの選手、ファンの方々、本当におめでとうございました。
今後、プロ野球の歴史において、黒田の奇跡とともに、このセ・リーグ優勝だけで十分に伝説になるでしょうが、CS、日本シリーズも勝ち抜いて、究極の伝説のチームとファンになりましょう!
期待し、祈っています。