TOO YOUNG TOO DIE

本作を封切間もなくT-Joy東広島にて運よく観てきました。この6月は、わたしにとってはいろいろとエポックなことがあり、自分自身のブラッシュアップを迫られる機会を得て、映画修行もとんとご無沙汰してました。

 

久々、映画修行再会の本作はあの「あまちゃん」「舞子はーん」の脚本家、宮藤官九郎さんの脚本、監督作品です。

 

タイトルはまさにロックの王道を連想させるタイトルで、ロックミュージカル映画です。わたしはなぜかハイロウズの名曲「TOO LATE TOO DIE」のメロディを頭にエンドレスにかけた状態で、チケットを握りしめ、大シアターにもかかわらず少しまばらな席にひとりつきました。他の映画の予告編を眺めながら、本作はロック映画と言いつつ、クドカンらしい、ギャグとうんちく満載の映画なんだろうな~という軽い気持ちでいました。

 

そして映画が始まり、地獄とこの世の往復の始まりです。封切間もなくなので大画面の1番シアターで正解。おかげで迫力満点の画像と音楽を堪能させてもらい、本作の醍醐味を感じることができました。

 

好きな女の子にキスもできずに死んでしまった高校生が、死ぬ間際の彼女の言葉「わたしもー」の意味を解かなければ地獄にも安住できないとばかりに、人間界へ復帰するためにえんま大王や地獄の鬼たちと悪戦苦闘するバトル。いろいろエピソードがありますが、人間に一度だけ転生したエピソードがよかったです。主人公の「こっからかよー!」が印象的でした。

 

映画の最期にもうおばあちゃんになってしまったひろ美ちゃんにやっとめぐり合うことができ、その言葉の意味を解明し、観ているほうも一安心・・・。言葉で書いてしまうとなんでもないストーリーなのですが、実際の映像と音楽で大スクリーンに見せられるとなかなかいいのです。映画の魔法だと思います。ちなみにテレビ作品だったら大失敗作です。

 

本作の魅力はあくまでも音楽です。ほぼすべてオリジナル楽曲で構成しており、重要場面ごとに、ミュージカル仕立てで、バンドミュージックが大音響で奏でられていくのはとても素敵でした。長瀬くんも実際のバンド(TOKIO)ではやや音量の足らないボーカルですが、映画ではしっかりモディファイされ、いい感じで地獄ロックをがなっていました。

 

青春時代に抱いた、さまざまな情念。女の子への興味、羞恥心、将来への不安、成功への期待などなど・・・うまく言葉では表現できないそんな情念。そんな情念たちを大音響のギターで、ロックミュージックで表現したいと一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

 

本作ではそんな夢がスクリーン上に展開されているのです。ベタなのですが、つたないバンドミュージックのシャワーが意外と気持ちいいです。楽曲自体のレベルがどうこうということは簡単ですが、宮藤さんはそこではなく、青春の激情や怨念パワーを鬼と地獄、ロックという媒介で表現したかったのではないでしょうか? 

 

本作において、その企てはぎりぎり成功に終わっていたよね~感じながら、カーステレオでI-PODのプレイリストに入れたお気に入りのロックを大音響でかけながら、わたしも気分よく家路に着いた夜でした。