本作を本年最後の鑑賞作としてT-Joy東広島にて鑑賞してきました。二宮和也さんは嵐のメンバーとしてよりも俳優として以前からがぜん注目の方ですから期待も高まっての鑑賞となりました。
一言でいえば、長崎を舞台にした、原爆で一瞬に死んだ、医学生だった息子が母親に幽霊となって会いに来てしばらくともに暮らすといった物語です。現実の世界には年老いた母親とかつて結婚を約束しあった、まだ若い恋人がいます。いまはもはやこの世のものではない息子。それでも想いは残っており、残された家族、恋人への想いが深ければ深いほど残酷に横たわる現実。恋人には会えない幽霊だけれど、母親にはしっかりと会える・・・というそのわけは本作のラストへの布石となっています。
母親自身がすでに息子の待つ世界に近づいていたという事実をもって本作が締めくくられていきますが、やはり本作最大の感傷は、原爆の悲惨さ、戦争の愚かさへの示唆ではないでしょうか?
本作はあくまでもフィクションということは理解していますが、この物語と同じような家族や恋人の物語はおそらく広島にも長崎にも、また大空襲を受けた東京、大阪、名古屋といった都市には無数に存在したはずで、本作を観ると、いやがうえにもそれらへの遥か遠くの過去への切ない想いに辿り着きます。
もちろんわたしもいろいろなことを学び、当時の日本がなにを好き好んであの戦争に突入していったわけではないことは知っています。それでもこの原爆投下という無辜の市民を巻き込んだ最悪の戦争犯罪を止められる術はなかったのか?という想いにかられました。
未来において我々は二度とこうした戦争に向かうことだけは避けたいものです。
それにしても二宮くんは素晴らしい演技でした。悲しい表情のなかにユーモアや儚さをうまく表現した演技はぐっとくるものがあり、彼の映画作品をもっともっと観たいと思ったのはわたしだけではないはずです。今後さらに期待です。
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シネ丸 (火曜日, 12 1月 2016 11:17)
寒中お見舞い申し上げます。 本年も何卒よろしくお願いいたします。
キネマ旬報 主演男優賞:二宮和也 助演女優賞:黒木華 受賞したからという訳ではないですが,二人だけでなくすべての出演俳優が山田洋次監督の細かい演技指導のもと,素晴しい作品に仕上がったなぁと実感しました。 最後の「大霊界」みたいなシーンは少し引いてしまいますが,それでも原爆・戦争の虚しさがひしひしと感じられ印象深い作品でした。
PS:キネマ旬報ベスト・テン邦画1位は順当に「恋人たち」でしたが,洋画1位の「マッド
マックス 怒りのデスロード」にはビックリぽんでした。 大好きな作品ですけど,まさかの結果 シネ丸は「アメリカン・スナイパー」か「セッション」でしたけど。
四季のこころ (木曜日, 21 1月 2016 23:05)
ご無沙汰しております。最近、忙しくて映画修行が甘いことを反省している今日この頃です。二宮くん、キネマ旬報主演男優賞とはさすがですね。黒木さんも確かにいい味だしてました。「マッドマックス」・・評判が良かったのに見逃していました(;'∀')それにしても一位とは・・・確かに驚きです。いまはなんとか注目の「スターウォーズ」を観に行かないとと考えてますが、まずは過去作の復習をと考えているうちに時間がたちつつあります。近いうちになんとか修行してきます✊