進撃の巨人 ATTACK

以前から漫画やアニメで目にしながら、気になっていた本作を封切間もない時期にいち早くT-Joy東広島で観てきました。

本作は大画面の1番シアターで観たかった作品です。1番シアターはだいたい1週間で次が控えていますから上映まじかにこだわらざるを得なかったのです(笑)。

 

漫画はもちろん、アニメでも大ヒット。全世界に夥しい数のファンを持つ原作の実写化です。残念ながらというべきか、幸運にもというべきか、わたしは今回の映画版が「進撃の巨人」初体験。なので先入観まったくなしで鑑賞することができました。

原作をへたに読んでいるとおそらく原作とはかなり設定を変えてしまった映画版に対する失望と怒りで冷静に観ることができなくなるでしょう。噂によるとネットなどでは、原作に心酔したファンたちから「設定を変えすぎ、原作の良さをなくした」と映画版への批判が大炎上しているらしいですから。

 

映画を観てまず感じたのは、人間がバキッーという音とともに巨人によってまるでシシャモのように喰われていくのを実写で観ることはちょっとした衝撃です。この実写の迫力を大外面で体験できるだけで本作が制作された意義があると思わざるを得ません。今晩、夢に出てきそうな恐ろしさです。

 

夢・・・まさにそうなんです。よく小さいころに見た、なにか異世界のようなところからやってきた者に理不尽にも追われ続けるというという夢を見たことがありませんか?まさに映像でそれが展開しているのです。

くわえて、あまりにも理不尽な設定。人間はどこからともなく湧いてきた巨人にとってはかわいい家畜状態。んっ・・・待てよ。ひょっとして、人間にとって日常的に捕食されている豚や牛などの家畜。彼らの目から見れば、人間こそがこの「進撃の巨人」の巨人に見えているのではないか?うーーん、こうした無意識の層に存在する夢や人間自身の潜在的罪悪感を本作は執拗にノックし続けます。そしてこれらの人間の心的内面は全世界おおむね似たようなものなのです。だからこそ世界中でこんなに支持されているのでは?・・・なんていう私的妄想も芽生えたりしました。

 

つっこみどころ満載の本作映画版なのですが、せっかくここまで壮大な世界を表現し謎だらけの設定で、映画という上映時間が限られたフォーマットなのだから、あまりチマチマとした登場人物たちの恋愛関係や隊員同志のコンプレックスからくる葛藤やいさかいなどに寄り道する時間はないような気がするのですが、結構描いていましたね。それはそれで楽しめるのですが、後篇でこの世界観のすべての謎が解明される時間が十分残されているのかを老婆心ながら心配しています。

 

最後に本作で特筆すべきことは、上映時間の2時間弱があっという間に感じられたということです。おそらく通算1000本超の映画館体験をしているわたしですが、生涯最短の実感です。ずばり2時間弱がほんの30分ぐらいに感じられました。映画のラスト、エンドロールが始まり、えっもう終わり?という感じ。

おそらく「巨人」の進撃が激しすぎて、リアルに迫ってくる大画面の前で観客として同朋の人類がバキバキと喰われていくのを身もだえしながら、恐怖と驚愕に身を浸していたら気づけば終わってたという感じです。ハラハラドキドキのジェットコースターに乗った気分です。

作品の出来云々は人それぞれですが、怖~い世界に身を浸しあっという間に時を超える、ウラシマ現象を起こしてくれる空想ジェットコースターを楽しみたかったら、ぜひ本作をご覧くださいね。

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コメント: 3
  • #1

    高美のviewer (土曜日, 22 8月 2015 11:47)

    久しぶりに先生のブログを見させていただきました。いつも幅広いジャンルを鑑賞しておられますね。忙しくて鑑賞できなかった作品のほとんどを見ておられるので参考になります。豊富な見識と洞察力をお持ちなので、気づかされたり共感することが多くあります。どんな作品も切り捨てずに良いところもコメントされ、映画への愛情と本業の匂いを感じます。(失礼) 他人が評価した星の数で見る映画を決めるのは残念なことですね。

  • #2

    四季のこころ (水曜日, 23 9月 2015 10:14)

    高美のviewerさん、コメントありがとうございます。たいへんご無沙汰しております。元気でされていますか?映画について当時少しお話ししたことが懐かしいです。
    わたしも近況報告代わりに、映画館で直に鑑賞した作品については、これからも駄文を添えようと思っていますので、また覗いてやってください。

  • #3

    tomiyasu motoharu (水曜日, 24 2月 2016 09:54)

    手に汗握るというか、時空を超えて、時間という軸を変容させるような映画なのですね。
    ジュラシックパークをむかしむかしみたとき、本当にびっくりしました。よくこんな映画つくれるなあとおもいました