パリよ、永遠に

本作を産業医研修を広島市内にて受講したあとにサロンシネマ2にて鑑賞してきました。本作はよほどの映画ファンでなければ、ほとんどご存じない作品だと思います。わたしも映画館に行くまで知りませんでした。

映画館でなにを観ようかと、パンフレットを読んでみたら、第2次世界大戦末期にドイツ占領下のパリにおいて、ナチスによるパリ爆発炎上計画があり、それを断行するべきナチス司令官に対する、パリを愛するスウェーデン人外交官の奮闘とナチス司令官の苦悩を伴った交渉の舞台を描く、史実に基づいた作品であるとのこと。


歴史好きのわたしとしては、やはりこれは観ておこうという気分になり、修行に入りました。もともと演劇でヒットしていたものを映画化したというだけあって、司令官の執務室がほとんどのシーンを占めるというなかなかいまどき少ない、映画としては誠に渋い作品でした。


それでも世界の宝石であるパリの街、エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム寺院、ベルサイユ宮殿、オペラ座等々の世界遺産のすべてが破壊されていた可能性があり、それを大戦末期ベルリンと同じ目にあわすという意図の下、やけくそになったヒットラーによって命じられ、爆弾をすでに街じゅうに仕掛けていたにも関わらず、爆破決行直前に実行を回避した勇気を持った、ドイツ軍司令官がいたというリアルは映像を通して十分に伝わってきました。よく考えれば、わが日本の至宝、京都も敵国アメリカによって、爆撃だけは回避されていたという史実も思い出したりして、人類のぎりぎりの叡智なるものの崇高さに想いを馳せたりしました。

コメントをお書きください

コメント: 3
  • #1

    シネ丸 (水曜日, 17 6月 2015 17:28)

    二人の名優による戯曲の緊張感をそのまま映像に移し,パリの命運を左右する駆け引きの重厚な演技のパワー。  壊滅したワルシャワの映像それにかぶるベートーベンの第七の二楽章から始まり,最後は美しいパリの風景とシャンソン「私の国と,パリ」。83分の作品でしたが,歴史は繰り返されるというかイスラム国の美術品破壊が現実に行われている事など色々考えされられました。 原題「Diplomatie(外交)」本当の外交は人と人の問題なんですよね。

  • #2

    四季ごころ (木曜日, 18 6月 2015 18:26)

    いつもコメントありがとうございます。まさかこの作品までチェックしていたとは、さすがシネ丸を名乗るだけあります。また頑張ってレビューを載せますので、遠慮なくコメントしてやってください。

  • #3

    tomiyasu motoharu (木曜日, 18 2月 2016 08:59)

    人間の狂気と愚行と人間の叡智と善行の交錯。
    ヒットラー、スターリン、ポルポト、フセイン、アサド、タリバン、アルカイダ、イスラム国
    狂気と愚行のなかにも、人間の叡智と勇気 杉原千畝 や マンデラがいたわけで。
    北朝鮮とシリアにもきっと叡智があるはずとおもっております。