フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ

例によって診察の終わった夜に、T-Joy東広島にて本作を観てきました。なんでもイギリスの主婦が書いたインターネット小説がもともとの原作の由来で、書籍だけでも全世界で7000万部を売り上げた小説とか・・・。本作の予告編もかなり思わせぶりな内容で、こういった過激かつ冒険的作品がわが街で上映されるのであれば、やはりいかないといかんということで映画館に滑り込みました。

さてさて上映が始まり、わたし自身はあぜんとしました。まだ恋愛というものをよく知らないうぶなアナ。かたや若き大富豪で過去に影を引きずるグレイ。(日本の恋愛ものもそうですが、この男性の影というのがやはり大事な隠し味ですよね)彼女が望んだものなら、高級車アウディでもなんでもプレゼントしてくれるグレイ。加えてピアノはまるでX-JAPANのヨシキのように弾きこなし、容姿もモデルのように麗しい。こんな男性がいたら、わたしでも恋におちたくなりそうです(笑)。

舞台はシアトルなので、スターバックスの創業者が若ければ、グレイみたいなものかな~?なんて余裕で観てましたが、物語が進むとともにグレイのダークな面がどんどん露出。グレイはとにかく女性を心身ともに拘束しなければ女性と交際できないという性格だったのです。実はこうした嗜好を内面にもつ男性は巷にもたまにはいると思われます。しかし当然現実に行動化するにはさまざまな制約があり、それはだいたいの場合、挫折し、行動の妥協および修正を迫られるものですが、本作はフィクションだけに、なんとかグレイの偏った性的嗜癖はぎりぎり成就できそうな展開に・・・。

でも徐々にハードなSMワールドに入っていくにつれて、ついに当然至極の結末と相成り、観る者をややほっとさせる展開でエンディング。このエンディングが逆であった場合は、ほぼかつてのハードSMロマンポルノ状態であり、広島なら的場町や横川町あたりで展開されていためくるめく世界なのですが、その領域にギリギリいかず、踏みとどまるところが本作を世界的な作品にしたのかな・・・なんて感じたりもしました。

うーっむ、それにしてもロードショーで上映されるにはあまりにも過激な世界。本作が全世界で上映され、まずまず何百万人という女性に受け入れられるということは、女性というのはこういうSMワールドを結構楽しむこころの準備ができているのか?・・・それとも、自分が現実では決して体験できない模擬世界かつ小気味よいSM妄想世界のなかで、想像上のアバンチュールをたまには楽しんでみたいということでしょうか?

うーーん、悩みは深まるところですが、まあおそらく後者なのでしょうね。このあたりについては、本作を観た女性とぜひ議論・・いやいやお話を伺ってみたいところです。いろいろと考えさせられ、これを書いている今も自分のなかでは未消化の部分の残る興味深い映画ではありました。