秋の気配のなかで

 さて問題です・・。写真の風景、モネの描いたパリ郊外のような森。ここはどこだかわかりますか?

9月の週末、秋の気配の漂う日に講演会参加のため北海道は札幌に行ってきました。この写真はそのときに撮ったものです。秋の札幌というのは初めての体験でずいぶん寒いのでは・・と予想して訪れたのですが、まだ広島とあまり変らない気候でした。一か月先はまったく違うのでしょうね。

問題の答えは北大構内です。北大に行かれた方はご存じだと思いますが、北大キャンパスは札幌駅の北口にほぼ直結する場所に位置する都心のどまんなかなのですが、構内はこんな森のような風景がこれでもかというぐらいあふれていているんです。この日は秋の深まりつつある日曜日だったのですが、子ども連れの家族や一般市民の方たちが、まるでモネの描くキャンバスの登場人物のように降り注ぐ優しい木漏れ日の陰影のなかで想い想いに癒されていました。ちなみに北大生らはところどころでジンパ(クリニック隣の薬局で働く北大卒の薬剤師・小西くんによるとジンギスカン・パーティーを短くこう呼ぶそうです)に興じており、自然の緑と香ばしい焼肉の臭いがまじりあい、なにかさわやかながらわくわくするような気分に包まれたりしました。何処までも青い秋の空の下、こんな場所がわが東広島にもあればな~と感じたり、北大に進学した高校の級友ふたり(彼らもいまは北海道からは遠く離れています)のことやまた「北大のポプラ並木で待ってるぜ~」というメッセージをわたしの中学卒業アルバムに書き込みながら実際には地元大学に進んだ幼馴染(彼はその後も結局のところ一度たりとも故郷を出ることはなく今も故郷周辺に残り、正月にはお酒を酌み交わし、ともに深夜の初もうでに興じています)のことを思いだしながら、懐かしいポプラ並木やクラーク像、新渡戸稲造胸像などを散策・再会しました。

かつては親友と北海道一周のくるま旅の途中、北大構内にも車中泊で3泊ぐらいは泊まらせてもらいお世話になった北大キャンパス・・・。もうあれから20年以上たっているのだな~と嘆息・・・。いまでも北海道は数年に一度はスノボーや学会で訪れる場所なのですが、北大構内にはなかなか訪れる機会には恵まれず、おそらく親友と車中泊滞在した20数年ぶりの再訪でした。札幌の街は札幌駅をはじめとしてずいぶん変わりましたが、北大構内のこうした緑や自然はあの頃とほとんど変わっておらず、これにはちょっと感動を覚えました。またここにはゆっくり来なければいかんと心に刻む自分を感じながら、そろそろ新千歳空港でのお土産修行に移らんといかんと思いだし、後ろ髪ひかれながら北大キャンバスをあとにしました。もし人生をやり直せるなら、北大での学生生活を送ってみたいものです。

 

P.S.帰り際、いまはよそ者を入れないよう大学構内への出入口には遮断機や管理人ボックスなどが設置されていました。もう車中泊ができる自由な時代ではないのだなという感慨もおまけに持ち帰りました。