先日、世代的に気になる本作をT-Joy東広島にて鑑賞してきました。自宅の漫画ライブラリーにはまだ当時の原作コミック全4巻が比較的良好な保存状態で並んでいるのです。本作を観た後に原作も25年ぶりぐらいに読んでみようという心づもりでの鑑賞となりました。わたしは当時バイクは乗っていたものの、登場人物のように暴走族でもヤンキーでもなかったのですが、この国が経済成長という道の上を遮二無二ひた走っていた時代、彼らの存在はそんな社会体制への緩やかな異議申し立て的な部分も含有しており、まだYoung&Angry&Prettyに社会への疑問を強く持ちつつ学生時代を過ごしていたわたしも部分的に共感するものもあり、この原作を含めた関連漫画(「ハイティーンブギ」などもこの系統でしたよね)はよく読んだものでした。ヤンキーにも彼らなりの主張とナイーブさを保持しているということを境遇は違えど、共感をもって当時読ませてもらったものでした。そんな懐かしい本作が今を時めく能年玲奈さんの主演で映画化されるわけですから見ないわけにはいきません。
さて観終わっての感想ですが、80年代の湘南地方の海沿いの街並、夜から朝にかけての蒼い路上や交差点の風景、80年代に流行ったバイクの勢揃い(とくに春山の乗るホンダCBR400は当時の人気バイクの筆頭で懐かしさでいっぱいになりました)などは原作のイメージをしっかり実写化できており、素晴らしいと思いました。能年さんもヤンキーらしくない・・という批判も一部にはあるそうですが、元々ヤンキーではなくふつうの孤独な女の子が和希であったわけですから、これもありだとは思います。映画初主演作としてはまずまず上出来ではないでしょうか。
その一方で主人公らの境遇をはじめとして、物語としてこんな特別な状況設定や単純な展開(最後のセリフなど今の時代では??と思わせるラストでした)などありそうになく、映画化に際し「原作をデフォルメし過ぎだよな~」と思い、帰宅後原作を読み返すと、あらまーびっくり…(*_*)映画はデフォルメなどまったくしておらず、原作自体がこうした設定と展開であり、本作は徹底的に原作を踏襲しており、変わったのはわたし自身だったようですね。
当時、こんな特殊であり得ない状況設定と物語を自然に受け入れて、なんの疑問も抱かず読んでいたわたし自身に対して、いまのわたしがいろいろ突っ込み尋ねてみたいという心境になりました。そんな想いにさせてくれた本作ですが、突っ込みどころ満載なことは間違いなく、その点でも十分楽しめますよ。
P.S.主人公の相方の春山役ですが、わたしとしては元BJCの浅井健一くんの若いころのイメージが強かったのですが、これもおそらく観た人の世代によりいろいろな意見があり、原作も映画も経験している人同士なら、そんなことも酒の肴に楽しめると思います。