この作品もサロンシネマ2で観てきました。わたしの大好きな兄弟映画です。ちなみに邦画の兄弟映画の最高傑作は「ゆれる」だと個人的には思います。香川照之とオダギリジョーの兄弟の物語はいまも心が震えるほど素晴らしいものです。もしわが地元T-Joy東広島で再上映してくれたら、迷いなく観に行きます。まだ未鑑賞でしたら、DVDでもいいので、ぜひご覧ください。
閑話休題。さてこの映画ですが、不幸を背負った兄弟を中心に揺れ動く人間模様がせつなくいいです。そうしたせつなくもどろどろとしたアメリカの田舎的な人間模様が、BobDylanを中心としたアメリカン・ルート・ミュージックを背景に、気づいたら物語と音楽がシンクロしてて泣かせます。
情けない兄とそれを思いやりながら自分の目の前の現実と格闘する弟。彼らがひとつの事故をきっかけにアメリカをアメリカ製オートモービル(劇中で車屋の店主からは、便利で速い日本製ホンダ車を勧められるも弟は拒否というのが、意外にこの映画の核心部分かも)に抱かれ漂流して逃亡(RunAway)いく。弟が逃げた街はかつての恋人が住む街。兄への思いと元恋人への思いに揺れ動きながら、残酷にも時間が答えを出してくれるラストへ向かっていく。うーん、だめな兄に、なかなかいけてる揺れ動く弟。兄弟ものの定番です。わたしは現実世界では弟を持つ兄なのですが、役割としては弟的な部分もあり、こういう映画を観ると両者の気持ちが痛いほどわかり、せつなくなります。わかっていながら、泣かせるのがこうした兄弟映画です。音楽も極上であり、素敵な佳作でした。
P.S. この作品で弟を演じる、デカプリオとリバー・フェニックスを掛け合わせた若い感じの俳優は誰なの?と思い確かめたら、なんとエミール・ハーシュ。6年ほど前に傑作「イントゥ・ザ・ワイルド」で大学院卒業後のアドレスンスあふれる主人公を演じていた彼だったとは・・。ちょっとびっくり。「イントゥ・ザ・ワイルド」から6年もたっているのに、本作においてはかえって若返っているように感じました。まさに「Younger Than Yesterday」。わたしも見習いたいものです。