かぐや姫の物語

最近、講演準備やら診断書・意見書作成など診察が終わったあとに残った仕事が多く、映画修行になかなか行けず、反省の日々を送っています。しかし、先日やっとT-joy東広島のレイトショーで「かぐや姫の物語」を観て来ました。

竹取物語って、誰もが知っているようで、その全容を知らない人も多いですよね。わたしもそのうちの一人です。なので映画をみて、どこまでが原典オリジナルで、どこからが高畑監督の創作かをいろいろ想像してみてました。どうしてかぐや姫が地球に行きたかったかという理由や里の少年とのほのかな恋心は、さすがに監督の創作ですよね。でもよくできたエピソードで、高畑監督の素晴らしい創作部分を足して、竹取物語が現代人も満足する、完全な物語になったような印象を持ちました。

個人的に歓心したのは、初めて見る映画なのに、いろいろなところにデジャヴ感満載なところでした。かぐや姫と捨丸との最後の逢瀬~ともに空を駆けるシーンはまるで「耳をすませば」のラストシーンの印象ですし、映画のラスト~月に還るシーンは、まさに子供時分に見た「はくしょん大魔王」の最終回(すみません。若い方にはまったく未知のアニメだと思います)~はくしょん大魔王が魔法の国へ還るシーン(みんな寝ずに必死に守ろうとするのに結局眠ってしまうところとか)そのもののようで、わたしみたいな中年おじさんには懐かしく、子供の頃のあの切ない気持ちに還れました。冷静によく考えれば、「竹取物語」のほうが古いわけで、「はくしょん大魔王」のエンディングこそ「竹取物語」からインスパイアされたものであったわけです。
もうひとつ。やはり書いておきたいのが、月からの迎えの音楽隊が奏でる音楽。おそらく久石譲さんの作品なのでしょうが、これがまた劇中で展開された地上の音楽とはまったく異なる 、いい感じの違和感が炸裂していて、これぞ天上の音楽という響きのなか、菩薩さまと思われる人物(ちょっとポニョのグランドマザーみたい)を先頭にした月の使者たちの登場にうっとりしました。この音楽をバックにしながらの、記憶を喪っていくかぐや姫を中心にした、月界と下界のお別れの素晴らしいラストシーンを堪能するためだけにも、この映画はいつかまた観る価値があると思いました。

 

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コメント: 4
  • #1

    ちくわ (月曜日, 27 1月 2014 20:42)

    八丁座でこの映画を見るつもりが、
    午前中にちょっと用事が入ってしまい上映時間に間に合わず…(>_<)
    何も見ないのもあれだったので、「武士の献立」を見ました。
    感想は、悪くはないけど、
    もう一回見るかと聞かれたら、見ない!って感じです。
    それと上戸彩はどんな役やっても上戸彩だな~って感じました。
    話は変わりますが、テルマエ・ロマエ2が楽しみです(^_^)/

  • #2

    シネ丸 (火曜日, 28 1月 2014 09:50)

     先生がお忙しくされている間,シネ丸は12~1月で10本の修行をしていました。 「かぐや姫の物語」は二か月前の鑑賞なので,少し記憶がうすれていますがテーマ曲の「いのちの記憶」はなかなか頭から離れません。
    歌っているのが二階堂和美さん(広島在住の僧侶でシンガーソングライターでお母さんでRCCラジオにもよく出演されていますよね)
    高畑監督が以前から大ファンで自らオファーされたんですってね。
    8年がかりで作られた監督からの素晴らしい贈り物のような作品でした!

  • #3

    fourseasons-clinic (土曜日, 15 2月 2014 17:18)

    八丁座はいい映画館ですよね。広島の映画文化の誇りだと思います。「武士の献立」はなにか「武士の家計簿」の二番煎じのにおいが強すぎ、結局スルーしました。
    確かに上戸さんや剛力彩芽さんら某事務所所属のタレントさんは個性が強すぎるのか、映画のなかでも役より本人の我がでてしまっていますよね。
    二階堂さんは広島ゆかりの方だったのですね。いつもながら、ジブリの映画は音楽の選択がいいです。監督や制作者は、映画のなかで音楽のはたす役割をよくわかっています。これにはいつも感心させられます。

  • #4

    piko (火曜日, 14 7月 2020 11:26)

    仏罰が下されたから地上で修行させられた天人という設定ですよね。これほど我が儘だったら最後の仏様は地上人であれば仏罰を下す事も出来る存在なので何だか無表情で不気味でした。昔から姫という性に産まれていたら修行で尽くす人生とお坊さんからは教わります。