華麗なるギャツビー

昨日、T-joy東広島6番シアター(大画面です)にて「華麗なるギャツビー」を観てきました。村上春樹好きとしては「グレートギャツビー」と呼びたいところですが、公式邦題に忠実に「華麗なるギャツビー」とします。今回でなんと5回目の映画化。わたしなどはロバート・レッドフォードとミア・ファーロ版ぐらいしか観たことがないため、まだまだ新鮮です。

レオナルド・デカプリオとキャリー・マリガン(傑作「わたしを離さないで」の清楚な役が今も心に残っています)のコンビが吉とでるか凶とでるか?が気になるところでしたが、素晴らしい出来でした。原作を読んでいれば、今まで想像していた、きらびやかな屋敷でのパーティの風景や灰の谷の見事な描写にうっとり。原作を未読でも、バズ・ラーマン監督による、いい意味での原作の翻案により、「ギャツビー」のコアがよく理解できる流れになっていましたから、これは完璧におすすめの作品です。

デカプリオは満面の笑顔も憎悪に満ちた表情も真にせまり、まるで「タイタニック」で海の底に沈んだはずの、アメリカでの成功を夢見た貧乏な少年がよみがえり、さまざまな経験を経てギャツビーになったみたいでした。いま役者多しといえども、成り上がりを演じさせれば世界一。彼にとって、この役ははまり役であり、俳優稼業中期のベストとなるのではないでしょうか?そしてマリガン。上流階級の可憐さと狡猾さと魂の不安定さを見事に演じており、さすがだな~と感心。

個人的に思い入れが強い作品ほど、その映像化に失望することが多々ありますが、この作品はそうした地平を軽々と超える素晴らしい作品になっており、みなさんもぜひ大型スクリーンで鑑賞してくださいね。

映画を観終えた翌日もまだ、ギャツビーの保持した、純粋さ、儚く高潔なイノセンスがじんわり胸に灯っています。まるで緑の常夜灯のように。自分の内面にそういうものがどれだけ残されているか、自信ないですが、そうした内面性を大事にしなければいけないとぼんやり感じた作品でした。

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コメント: 8
  • #1

    tokutalk (金曜日, 05 7月 2013 18:04)

    先生、診療所では利用者の皆さんがお世話になっています。
    てんまのトクナガです、先日HPの事を聞いてお邪魔させていただきました。

    「ロミオ+ジュリエット」や「ムーランルージュ」のバズ・ラーマン監督らしい映画でしたね。
    L・ディカプリオも「タイタニック」から15年経ちましたが、最近渋い役どころが多いけれど明るく華やかな部分が健在でした。
    タイトル通りゴージャスな映画でした。

    またブログを見させていただきますね。

  • #2

    fourseasons-clinic (日曜日, 07 7月 2013 19:55)

    このブログでは、クリニック開院以降、実際に映画館で観た作品に限り、しっかりコメント残しておこうと考え、日記のように綴っています。これからもどんどん映画コメント綴っていくので、チェックしてくださいね。

  • #3

    M2KJ (月曜日, 08 7月 2013 14:54)

    まっったく同意見です!バズ・ラーマン版はギャツビーの過去・生い立ちがかなり細かく描かれているととともに、パーティーの狂乱ぶり(彼のお得意とするところでしょうけど)など、JAY-Zの音楽が全面にフィーチャーされてて、20年代と現在のパーティーピープルが交錯する錯覚を覚え、それが単なる古典文学の映画化、焼き直しに留まらない効果を出していて、見る側がよりドラマチックにこの物語を享受できる内容になっていたと思います。もう一度、映画館で観たい作品です。補足:キャリー・マリガンがまたしても良かったですねぇ〜大好きですこの女優さん♬

  • #4

    fourseasons-clinic (金曜日, 12 7月 2013 19:24)

    わたしもチャンスがあれば、もう一度映画館で観ておきたい映画です。現時点では最高の映像化ですよね。いつか今回のバージョンを超える作品が出るかもしれませんが、おそらく30年は大丈夫かなと思います。加えてこの夏は、映像化が難航していた、ケルアック原作の「オン・ザ・ロード」もいよいよ封切られるし、心がはやりますね。

  • #5

    シネ丸 (水曜日, 07 8月 2013 10:46)

     観終わってしばらく日にちが経ちますが、心の中に色んなものが残る余韻に満ちた作品でした。 バズ・ラーマンは「ムーランルージュ」と同じように、華やかさとその裏にある哀愁を我々に又みせてくれました。 ディカプリオは「Jエドガー」「ジャンゴ」とそれぞれ違った個性で本当に素晴らしい役者になったと感心します。  それにキャリー・マリガンも最高!
    このふたりの織りなす中身の濃いラーマン劇場  満足・満足でした。

  • #6

    fourseasons-clinic (月曜日, 12 8月 2013 16:20)

    結局、2回目の鑑賞はかないませんでしたが、またDVDなどでも見たい、心に残る作品でした。こういう素晴らしい小説からの映像化作品をみると、「ライ麦畑で捕まえて」「フラニーとゾーイ」なども映像化したらどうなるのだろう?なんて想像しますが、J.D.サリンジャー財団が許可するわけもないし、それぞれの想像の世界で存在するというのも大事ですよね。

  • #7

    narata (火曜日, 13 8月 2013 04:25)

    お邪魔します!レオ様の退廃的な年の取り方に、なんとなく安心しました。あとは衣装の豪華さに圧倒されました。いい時代だったのですね~うらやましい感じです。

  • #8

    fourseasons-clinic (金曜日, 16 8月 2013 10:32)

    レオさん、なかなか味のある素敵な俳優に成長しつつあります。日本でいえば、大正末期から昭和初期にかけて、あんな豪華なホテルや別荘が実際にアメリカに存在したということが、確かにすごいですよね。この作品は原作も含めて、いろいろな見方ができ、ほんと深い作品です。