今日水曜日は福山の児童施設での診療。夕刻、診療が終わった後に待望の映画修行に行ってきました。約一か月ぶり。修行先は福山駅前のシネフク大黒座2の当夜最終上映。作品はスピルバーグの「リンカーン」。昨年から、奴隷解放宣言150周年記念ということもあり、「リンカーン/秘密の書」「声をかくす人」とリンカーンものが続き、ついにそのオオトリです。
まず見始めて意外だったのは、スピルバーグのことだから、リンカーンの人生を壮大に描いたパノラマ的大巨編と思いきや真逆。映画は暗殺までのリンカーンの人生最後の1年、特に奴隷制廃止への国会工作にフォーカスを当てた小品?でした。これは賛否両論あると思いますが、わたしはこれはありだと思います。スピルバーグも年をとり、かつての黒沢的大スペクタル世界から、小津的人間描写世界に移行しつつあるという感じでしょうか。しかし、彼の専売特許の明快な絵作りは健在で、歴史的人物の信念の貫徹と寄り添う家族とリンカーン本人の苦悩が、わかりやすく、くっきりと描写されていました。
数あるテーマのうちのひとつとして、まさに小津的ですが、リンカーン自身の公的な仕事人(もちろん大統領)としての立場と私的な家庭人(個人と言い換えてもいいです)としての立場の相克。これ意外にぐっと来ました。これは、リンカーンほど偉大で過酷でなくても、われわれだって日々対峙するストレスの重要な一種です。(わたしも医師になりたての頃、この相克に悩んだりしました)もちろん今も自分自身も含め、患者さんの心のなかにそれらを見出すことが多く、これらは日々の診療の対象となっています。
そうしたストレスが公私両面でのしかかりながら、リンカーンは信念を貫いていきます。たった一年に心労のため急速に老け込むこともいとわず。そのなかで、特に印象に残ったのは、映画中盤で、若くして亡くした自らの子供や南北戦争で戦死した多数の若者たちについて、妻から激しく責められたリンカーン自身の言葉です。
「所詮、人はそれぞれの重荷をひとりひとりが持つしかないのだ」 との自嘲を伴ったつぶやき。
このつぶやきには久々わたしの心にも”がつーん”と来ました。わたしもこのたびクリニック開院の過程のなかで、人には言えないような悩みや困難が実はあったりします。(常に笑顔を心がけていますが !(^^)!)そうしたわたしの心にもこの言葉は砂に落ちる一滴の水のように染み入りました。わたしの悩みはリンカーンに比べればなんと微細であることか・・・。
リンカーンと比較するなと言われそうですが、確かにこのつぶやきは真理だなと思います。結局、我々はさまざまな重荷を背負いながら、精神的にはひとり歩いていく存在なのです。(しかし、ひとりで持つには重すぎる荷物もあり、つまずきそうになるときがあり、体や心がきしんだりすることもあります。そんなときは当クリニックがお役に立ちますので、気軽に相談にいらしてください。 )
そして、物語はついに運命の時が近づき、ラストの際、ついに奴隷制に終止符を打ったリンカーンが妻とふたりきりでのんびり馬車に乗りながら「我々はこれからもう少し幸せになろう」と語るシーンを経てエンディングへ。 暗殺シーンを直接出さなかったのは、スピルバーグの自身の映画の影響力の大きさへの配慮と、≪今回のテーマはそこではない≫とのメッセージに感じたのはわたしだけでしょうか。
エンドマークまで観終わり、感嘆しながら改めて思ったのは、いい映画というのはやはり、勇気を与えてくれるものなんだなということです。これだからしばらくご無沙汰していましたが、映画修行はやはり止められないと思った夜でした。わたしとしては、5本に1本ぐらいの割合で出現する、おすすめ作品でした。みなさんもぜひ映画館でどうぞ。 わたしも診療の合間を縫って、細々と映画修行を続け、このブログでも綴っていきます。
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M (月曜日, 29 4月 2013 17:11)
先日は予約日でないのに突然おじゃまして失礼しました。症状のほうは処方された薬を飲んで1日寝たらウソのようになくなりました。早めにうかがってよかったです。またよろしくお願い致します。
まっちゃん (火曜日, 30 4月 2013 15:48)
「所詮、人はそれぞれの重荷をひとりひとりが持つしかないのだ」
これはまさにビートルズの「キャリー・ザット・ウェイト」だね。
リンカーンが実際に残した言葉なのか、ビートルズ世代のスピルバーグが、
リンカーンの人生の中に見出した言葉なのか・・・
いずれにしても「重荷」だけにズッシリくるね。
シネ丸 (水曜日, 08 5月 2013 10:02)
「リンカーン」観てきました。 お天気の素晴らしいGWの最終日でしたが、映画館は多くの中年夫婦で満席でした。 旦那はみんな偉人じゃないけど、奥さんにガミガミ言われながらも頑張っているんです。 私は暗殺される事は無いけど健康に留意して、定年後には嫁と温泉でもいきましょうかね!
fourseasons-clinic (水曜日, 08 5月 2013 23:42)
Mさん、お薬が合ってよかったです。またなんでも相談してください。
まっちゃん、まさにそうですよね。わたしもビートルズ最後のアルバム「アビーロード」のこのフレーズを思い返しました。吉田拓郎の唄ではないですが、ビートルズから教えてもらうことはこれから先もたくさんありそうです。
シネ丸さん、よい映画体験ができて何よりです。いい映画っていろいろ考えさせてくれますよね。ちなみにわたしも温泉は大好きです。そのうち温泉についても語りたいです。
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